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【決算分析】エイピア(4180)2Q|生成AIとM&A効果で最高益

決算 Appier Group株式会社(4180)

生成AIとM&Aで加速、エイピアの快進撃

「AIソリューションで世界を変える」──そう公言して走り続けるエイピアが、2025年上期も過去最高の売上と利益を更新しました。

生成AIを武器に、高利益率プロダクトの拡大とグローバル市場での浸透が加速。

特にAdCreative.ai買収効果が早くも数字に現れたことは、市場の成長ストーリーをさらに強固にしています。

それでは、詳しく見てみましょう!

決算ハイライト

指標 実績 前年同期比 備考
売上収益 196.6億円 +26.7% 北東アジア・米国・EMEAのバランス成長
営業利益 8.79億円 +111.3% M&A関連費用除くと10億円超
営業利益率 7.8% +3.3pt 除くと9.4%
売上総利益率 56.1% +2.2pt 高利益率プロダクト構成比上昇
ARR(年間経常収益) 388.7億円 +28.3% リカーリング収益95%以上
LTM NRR 120% +2pt 既存顧客の売上拡大継続

ポイント

  1. 為替逆風が3億円超あったにもかかわらず、北東アジア・米国・EMEA(欧州・中東・アフリカ)でバランスよく成長

  2. AdCreative.aiの連結効果で新規顧客開拓と既存顧客拡大の両輪が加速。

  3. 高利益率プロダクト比率の上昇&生成AI活用で効率性向上。

「決算直前記事」で指摘した注目点と実際の結果

先日のブログ記事で私は、

  • 高利益率プロダクトの比率拡大が利益率改善のカギ

  • M&A効果の実現速度

  • 北東アジア市場での安定成長
    を注視すべきと指摘しました。

今回の決算は、この3点すべてでプラス評価。利益率は過去最高水準に改善し、M&Aのシナジー効果も1四半期で数値化。北東アジアの成長も堅調でした。

財務・バリュエーションの視点

  • 株価水準:PER42倍台、PBR4.4倍
     → これは「利益の42年分を株価が先取りしている」水準で、かなりの高評価です。普通なら割高感がありますが、市場はそれだけ将来の成長に自信を持っているということ。グロース株の宿命とも言えます。

  • 財務体質:自己資本比率60.2%
     → 半分以上が自己資本で、財務的には安定。借入が増えているのは、攻めのM&A(AdCreative.ai買収)のためで、消極的な赤字補填ではありません。つまり成長投資のための借金です。

  • キャッシュポジション:現金等105.7億円
     → 手元資金は潤沢で、営業活動によるキャッシュフローも黒字に転換。これは「ビジネスで稼いだ現金が着実に増えている」ということで、成長フェーズでも資金繰りに不安がない状態です。

キャッシュ増加の主な要因

  • 長期借入による資金調達
     - M&A資金確保のために約78億円の長期借入を実行。これがキャッシュ増加の最大要因。
     - 成長投資目的のための借入であり、財務的には「攻めのキャッシュ増加」です。

  • 営業活動によるキャッシュフローの黒字化
     - 営業CFは+7.21億円と前年同期の赤字(-1.65億円)から黒字へ転換
     - 売上増と利益率改善により、本業で稼ぐ力が確実に上がっています。

  • 定期預金の取り崩し
     - 約30.7億円分の定期預金を解約し、現金化
     - 流動性を高め、成長投資や運転資金に使えるよう備えた動きです。

今後の注目材料

  1. AdCreative.ai統合効果の下期フル寄与
     → 上期は買収後の途中から数字に反映されたため、下期は12か月分フル寄与します。
     この会社は広告クリエイティブの自動生成を得意とするため、エイピアの既存サービスに組み込むことで顧客単価アップや新規顧客開拓に直結します。下期はこの「化学反応」が本格化する見込みです。

  2. 生成AIを活用した新プロダクト投入
     → 生成AIは単なる流行ではなく、利益率改善にも貢献する技術です。
     例えば、これまで人が時間をかけて作っていた広告やコンテンツをAIが作成し、顧客が短時間で効果検証できるようになります。これにより顧客満足度が上がり、解約率低下や追加契約につながります。

  3. 北東アジア市場でのシェア拡大速度
     → 日本と韓国は、広告・EC市場が成熟しつつもAI活用の伸びしろが大きい地域です。
     特に日本市場は競合が多い分、エイピアのようにROI(投資対効果)を明確に示せる企業が優位に立ちやすい。ここでのシェア拡大が、長期成長の土台になります。

  4. 為替動向による海外売上への影響
     → エイピアの売上の大部分は海外由来です。円高になると、海外で稼いだドルやユーロを円に換算したときの数字が減少します。
     今回も3億円以上の逆風がありましたが、それでも二桁成長を維持しました。今後も為替の影響は避けられませんが、多地域展開でリスク分散できるのが強みです。

専門用語の簡単解説

  • ARR(Annual Recurring Revenue):年間ベースで計算した継続課金収益。安定的な売上基盤の規模を表す指標。

  • LTM NRR(Last Twelve Months Net Revenue Retention):既存顧客が1年間でどれだけ売上を増減させたか。100%以上なら顧客単価が増えている状態。

  • 為替ニュートラル:為替変動の影響を除いた実質成長率。

ラック(管理人)の結論

私は今、エイピアを1,300株保有しており、サテライト資産のほぼ半分をこの1銘柄に託しています。

普通ならポジションがこれだけ偏っていれば追加投資をためらうところですが──今回の決算を見て、その迷いは吹き飛びました。

売上・利益ともに過去最高、利益率は大幅改善、ARR・NRRも文句なし。さらにAdCreative.ai統合効果がまだ下期に残っている。この数字はまぐれではなく、経営陣の戦略と実行力が確実に成果を出している証拠です。

だから、もし明日以降、株価が1,500円を再び割り込むような場面があれば──
私は迷わず買い増します。この決算内容を糧に、さらに自信を持って。

短期的な値動きに振り回される必要はありません。

この会社は生成AIを武器にグローバルで戦える数少ない日本(台湾)発の成長企業です。3年後、5年後にこの株価水準を振り返れば、「あの時がチャンスだった」と思える可能性は高いと、私は本気で信じています。

もちろん、市場全体の地合いや為替動向次第では、短期的な株価変動は避けられません。

しかし、それでも今回の決算は、長期目線での投資判断を後押しする十分な材料になったと考えています。

これはあくまでも私の決算分析に基づく主観であり、投資は自己責任の範囲でよろしくお願いします。

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